ITデータの調査と日没後の捜索

10月10日(月)日本経済新聞の朝刊より。

財務省と国税庁は脱税調査に際し、クラウドなどインターネット上に保存されているメールなどの情報を強制的に押収できる権限を認める検討に入りました。

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国税犯則取締法を68年ぶりに改正し、2017年にも実施する予定です。

IT(情報技術)を駆使した悪質な脱税や国際的な税逃れが増えていくとみており、国税の査察権限を強化し、夜間の強制調査も可能にするようです。

 

現在の国税犯則取締法においては電子化された情報を差し押さえられる明確な規定がないため、任意での提出となっています。

法改正によって査察官が自宅や会社などからパソコンを差し押さえた上で、被疑者の同意がなくても中に入っているデータを複写して調査できるよう法的権限を持たせ、

クラウドなどコンピュータ(サーバー)が提供しているネットワークに保存されている電子メールや会計の帳簿なども、運営主体のインターネット企業に開示を要請して収集できるようにするようです。

 

国政犯則取締法第8条では捜索の時間について以下のように規定しています。

「収税官吏ハ日没ヨリ日出マテノ間臨検、捜索又ハ差押ヲ為スコトヲ得ス但シ第三条ノ規定ニ依ル処分ヲ為ス場合ハ此ノ限ニ在ラス 」

「日没前ヨリ開始シタル臨検、捜索又ハ差押ニシテ必要アル場合ハ日没後迄之ヲ継続スルコトヲ得」

「収税官吏ハ政令ヲ以テ定ムル国税ニ付テハ旅店、飲食店其ノ他夜間ト雖モ公衆ノ出入スルコトヲ得ヘキ場所ニ於テハ其ノ公開シタル時間内ハ第一項ニ規定スル制限ニ拘ラス臨検、捜索又ハ差押ヲ為スコトヲ得 」

カタカナ表記で非常に読みづらいです。国税徴収法第143条に同様の規定がありますのでそちらを引用すると

「捜索は、日没後から日出前まではすることができない。ただし、日没前に着手した捜索は、日没後まで継続することができる。」

「旅館、飲食店その他夜間でも公衆が出入することができる場所については、滞納処分の執行のためやむを得ない必要があると認めるに足りる相当の理由があるときは、前項本文の規定にかかわらず、日没後でも、公開した時間内は、捜索することができる。」

となります。この条文について改正を行い、夜間の捜索も可能にするということです。

 

私は税理士試験受験5科目のラストが国税徴収法だったので、上記の143条も必死で覚えた記憶があります。

必死で暗記した条文が改正されるのは少しさびしいですが、68年間改正されていないということですので、これも時代の流れですね。

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