医療法人の設立

現在の流れとしては法人の税率は徐々に低く、個人の税率は高額所得者に関して徐々に高くなっていく傾向にあります。

よって開業されている院長先生については医療法人の設立という選択肢が出てきます。

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一般的に医療法人の設立というと節税目的みたいに思われがちですが、一般の株式会社とは異なるメリット・デメリットがあります。



【メリット】

1.法人の税率が個人の税率より低いことによる節税効果

個人は課税所得4,000万円超であれば所得税+住民税で55%もの税率になりますが、医療法人の実効税率は平成28年度で30%少々です。

2.給与所得控除による節税効果

法人から理事報酬を受け取ることにより給与所得控除(平成28年で最大230万円)が使えます。

3.家族に理事報酬を支払って節税

個人の場合、家族に給与を支払うには青色事業専従者給与の届が必要でしたが、法人の場合は家族を理事にして(もちろん経営に参加していることが前提になりますが)給与を支払うことにより法人の所得を圧縮することができます。

4.医療法人で生命保険に加入、節税や退職金準備ができる

個人診療所では生命保険料は必要経費になりませんが、法人であれば認められます。

5.信用力が上がる

融資、従業員の採用など、個人よりも法人の方が基盤が安定している分、信用も上がるはずです。



【デメリット】

1.容易に解散ができない

医療法人は事業の永続性を求められるため、解散するには都道府県の認可が必要になります。個人的な理由は認められません。跡継ぎがいない場合は理事長になってくれる人を探すか、M&Aを検討する必要があります。

2.社会保険への加入義務が生じる

個人診療所であれば従業員5人未満なら社会保険への加入義務はありませんが、法人になると社会保険への加入は強制です。社会保険料の法人負担分が発生します。

3.手続きや書類が煩雑になる

一般的に個人よりも法人の申告書類の方が若干煩雑です。申告書類に加えて都道府県への提出書類も準備しなければならないため、その業務を誰がやるか、かかるコストを検討する必要があります。

4.交際費の損金算入限度額がある

個人に交際費の限度はありませんが、法人は現在損金加入限度額が年800万円とされています。



というわけでデメリットとなることも結構多いのです。

ケースによってはたいして節税にならないうえに事務作業だけ倍増した!ということになりかねませんので、事前に十分なシミュレーションを行うようにしましょう。

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