長年勤めてくださった従業員さんへの退職金は、企業にとって大きな出費となります。
将来の退職金支払いの積立をするためには、大きく2つの方法があります。
中小企業退職金共済を利用する方法と、生命保険を利用する方法です。
今日は中小企業退職金制度についてご説明させていただきたいと思います。
中小企業退職金制度(中退共)とは、独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する退職金共済です。
企業は従業員さんごとに月5,000円~30,000円の掛金を共済に支払います。
支払った掛金は全額が個人事業主の必要経費、法人であれば損金になります。
企業は退職金の支払いを前倒しで必要経費または損金にすることができることになります。
退職後は従業員さんが直接共済に退職金を請求し、受け取りますので企業側では何の手続きもいりません。
勤労者退職金共済機構は厚生労働省所管の独立行政法人なので、バックは国であり、安心感があります(たぶん)。
しかし、いくつかのデメリットもあります。
≪デメリット≫
① 懲戒解雇した従業員にも退職金が支払われてしまう
円満退職でない場合、退職金など1円も支払いたくない場合でも、積み立てた共済金は共済から従業員さんに支払われてしまいます。
② 24月以内退職だと損をするリスクがある
加入後12月以内の退職だと支払った共済金は1円も戻りません。24月以内の退職だと受け取る退職金は支払った元本を割るというリスクがあります。
③ 会社にお金は戻らない
支払った掛金はいっさい企業に戻ってきません。
④保障がない
従業員さんに万が一のことがあった場合の保障はありません。
上記のデメリットをふまえたうえで退職金準備をするようにしましょう。